人と一緒にいると、なんだか気を使いすぎて疲れてしまう。自分の気持ちをうまく伝えられない。そもそも自分が何を感じているのか分からないなんとなく毎日が生きづらいと感じていませんか。
もしあなたがこのまま大人になって、自分の親みたいになってしまうのが怖い、と思ったことがあるなら、それはあなたが心のどこかで、自分自身の在り方に気づき始めている証かもしれません。
この記事では、そんなあなたに向けて「アダルトチルドレン(AC)」という考え方について、やさしく丁寧にお伝えしていきます。あなたの日々の生きづらさが楽になりますよ。

アダルトチルドレンとは?特徴・原因・生きづらさの背景
なんで私、こんなに人の顔色を気にしちゃうんだろう。周りの人が怒っていると私のせいかなって思ってしまう。そんなふうに感じたことは、ありませんか?
もしかすると、そうした生きづらさの背景には「アダルトチルドレン(AC)」という心の状態が関係しているかもしれません。
アダルトチルドレンとは、子どもの頃の家庭環境や親との関係の中で、心に何かしらの傷つきや抑圧を感じて育った人が、大人になってからもその影響を抱え続けている状態を指します。
たとえば、家庭の中でちゃんとしていなきゃ、いい子でいなきゃ。といつも我慢していたり、自分の気持ちよりも親の機嫌を優先しなければならなかった。そんな経験はありませんでしたか?
アダルトチルドレンという言葉を知ると、ああ、私だけじゃなかったんだ。と感じられる方がとても多いです。

アダルトチルドレン(AC)とは
「アダルトチルドレン」という言葉を聞いたことがありますか。
この言葉は、もともとはアルコール依存症の家庭に育った子どもたちが、大人になったあともその影響を強く受けている、という経経緯から使われはじめました。
しかし、現在では「アダルトチルドレン(AC)」という言葉は、もっと広い意味で捉えられています。
それは、親との関係や家庭環境のなかで、本来安心して甘えたり、自分らしくいられるはずだった子ども時代に、何かしらの傷つきや抑圧を経験したことで、大人になっても心に影響が残っている状態のことを指します。
家族との関係が理由で、自分らしさが育ちにくかった人たちのこと。親からひどいことをされたわけじゃないけど、なぜか息苦しさを感じる。自分だけ何かが足りないように感じる。そんな想いを抱えたまま大人になった人たちが、多く含まれています。

アダルトチルドレンの主な特徴
アダルトチルドレンの人たちは、見た目では分からないことがほとんどです。学校や職場ではしっかり者で、真面目だね、ちゃんとしてるよね。と言われることも多いかもしれません。
しかし、心の中ではどこか緊張していて、自分がここにいていいのかなと不安になったり、人と関わるたびにすごく疲れてしまったりします。
一見普通に見えても、その内側にはたくさんの思いが隠れているんです。
ここでは、アダルトチルドレンに見られやすい特徴について、いくつかご紹介していきます。
対人関係での極端な傾向
アダルトチルドレンの人は、他人との距離感がうまくつかめず、関係が極端になりやすい傾向があります。
たとえば、仲良くなりすぎて依存してしまうか、傷つくのが怖くて距離を取りすぎてしまう。
どちらにしても、ほどよい関係を築くのが苦手だったり、相手の顔色や気分に振り回されやすいのが特徴です。
また自分の本音をうまく出せず、相手に合わせすぎてしまいあとでどっと疲れる、ということもあります。
自己肯定感が低く、自分に厳しすぎる
どうせ私なんて、ちゃんとできてないと認められない。そんな思いが心の奥にありませんか?
アダルトチルドレンの方は、子ども時代に無条件で愛される経験が不足していることが多く、その影響で何かを頑張ってやっと存在価値がある。と感じてしまいがちです。
人から褒められても、いやいや、私なんて。と、受け取れなかったり、少しのミスで自分を責めすぎてしまう傾向にあります。
感情を感じること・表現することが苦手
親から泣いたら迷惑がられた、怒ったら否定されたなどの家庭で育った人は、いつしか自分の感情を感じること自体を我慢するクセがついてしまいます。
その結果、大人になってからも自分が何を感じているのか分からない、感情がコントロールできずに突然爆発してしまうなど、心のバランスがとりづらくなることがあります。
つねに不安や緊張がつきまとう
どこにいてもこれで大丈夫かな、迷惑じゃないかなと不安が消えず、心が休まる時間が少ないという方も多くいます。
それはいつも周囲にアンテナを張って、空気を読んで、自分を調整しながら生きてきたサバイバルモードのようなものです。
無意識に安心していてはいけないと感じてしまうのは、過去の家庭環境で安心できる空間がなかったせいかもしれません。

アダルトチルドレンが生まれる背景・原因とは?
アダルトチルドレン(AC)の特徴を知ると、どうして私はこうなったの?と気になることでしょう。
原因をたどると、その多くは子ども時代の家庭環境や親との関係にあると言われています。
家族は本来、子どもにとって安心できる場所であり、愛される経験を重ねていく中で自分らしさや自信を育んでいくものです。
しかし、家族の中でがんばらなきゃ愛されない、空気を読まないと怒られるというように、常に心を緊張させて過ごさなければならない環境もあります。
こうした家庭のことを、心理学では機能不全家族(きのうふぜんかぞく)と呼びます。
機能不全家族とは、家族として形はあっても安心や信頼、感情のやりとりがうまく機能していない家庭のことを言います。
特別な虐待がなくても、心のつながりが築かれず、子どもが安心して自分らしくいれない状況が続くと、それは心の傷となって、大人になってからも影響を及ぼすことがあります。ここでは、代表的な5つのパターンを、ご紹介していきます。
アルコール・依存症などの問題がある家庭
親がアルコールやギャンブル、過食、拒食、スマホ依存などに苦しんでいる場合、子どもはつねにその親の機嫌や状態に気を張って生きることになります。
今怒ってないかな、今日は大丈夫かなと、いつも相手中心の感覚が身についてしまい、自分の感情を後回しにするクセがついてしまいます。
暴力、支配、怒りが強く表れる家庭
身体的な暴力だけでなく、大きな声で怒鳴る、無視をする、コントロールするなど精神的な暴力も含まれます。
このような家庭では、子どもが自分の気持ちを表現することが危険と感じてしまい、感情を押し殺して生きるようになります。
その結果、大人になっても何が正しいのか分からない、自分の気持ちが分からないと悩みがちになるのです。
過干渉、過保護、コントロールの強い家庭
一見愛情が深いように見えても、子どもの意思を無視して親の期待を押しつける家庭も、子どもにとって心苦しくなります。
お母さんのためにいい子でいなきゃ、親の期待に応えなければ愛されない。
そんな思い込みが根づいてしまい、自分の本音や欲求を抑え込むようになってしまいます。
無関心、放任、感情のやりとりがない家庭
親が忙しすぎたり、心が疲れていたりすると、子どもは十分な関心や愛情を受け取れないまま育ってしまうことがあります。
話しかけても聞いてもらえない、気持ちを伝えてもスルーされる。
その積み重ねは、自分には価値がないのかもという深い思い込みにつながってしまうのです。
親が子どものように振る舞う家庭(親子逆転)
親が自分の感情をコントロールできなかったり、子どもに対してあなたがいてくれて助かると頼ってくるような家庭では、子どもが親のような役割を担ってしまうことがあります。
しっかりしなきゃ、私が我慢すれば丸くおさまる。そんな思いで小さな心を犠牲にしてきた子どもは、大人になっても人のために自分を押し殺すクセがなかなか抜けません。
「生きづらさ」の正体とその影響
なんとなく毎日がしんどい、うまくいっているはずなのに、心が晴れない。
人に嫌われるのが怖くて、いつも顔色をうかがってしまう。
こうした生きづらさを感じながら、その理由がわからずに苦しんでいる方は少なくありません。アダルトチルドレンの方が抱える生きづらさには、いくつかの共通したパターンがあります。
ここでは、特に影響が出やすい【恋愛・夫婦関係】【仕事や職場】【自分自身との関係】に分けて、やさしく紐解いてみましょう。
恋愛や夫婦関係で感じるなぜかうまくいかない。
アダルトチルドレンの方は、愛されることに対して強い不安を抱えていることがあります。
たとえば、相手のちょっとした反応に敏感になって嫌われたかも、と不安になったり反対に心を開くことが怖くて距離を取ってしまったりしがちです。
また、幼少期に安心して甘える経験が少ないと自分は人に頼っちゃいけない、ひとりで頑張らなきゃと思い込んでしまうこともあり以下のような傾向があります。
・ 相手に尽くしすぎてしまう
・ 相手の顔色をうかがって自分の気持ちを言えない
・ 相手から離れられなくなってしまう(共依存)
仕事や職場での自分だけ頑張りすぎる傾向
仕事の場面でも、アダルトチルドレンの方は必要とされることに価値を感じやすく、自分を追い込みすぎてしまうことがあります。
・ 断るのが苦手で、つい何でも引き受けてしまう
・ 責任感が強すぎて、一人で抱え込みやすい
・人の評価が気になって、自分を後回しにする
ちゃんとやらなきゃ、迷惑をかけたら嫌われるという思い込みが根づいていると、常にいい人を演じたり、正解ばかりを求めてしまい心がすり減ってしまうのです。
自分らしさがわからない感覚
アダルトチルドレンの背景には親の顔色をうかがって生きてきた、本音を出せなかったという経験が多く見られます。
・ 自分が何をしたいのか分からない
・ 好き嫌いの感覚が鈍っている
・ 他人の意見に合わせてしまう
このような自分の軸のなさに悩む方も少なくありません。
本当の気持ちを押し殺して生きてきた結果、私はどうしたいのか?という問いに答えが見つからない。そんなもどかしさが、生きづらさとして表れているのです。
アダルトチルドレンは病気ではありません。
大切なのは私はこういう家庭で育ったから、こういう傾向があるんだなと、まずは自分を知ってあげることが大切です。
今すぐ何かを変えなくても、生きづらさには理由があったんだ、と気づけるだけで、心が少し軽くなることがあります。
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